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幼稚園と保育園の費用比較——無償化後に残るのは実費の差と「預けられる時間」の差

幼稚園と保育園の費用は3〜5歳の無償化後、保育料の差がほぼ消えます。残る実費の差は月約3,800円。制服・バス代を含む内訳と、預かり時間の差を金額に換算した比較の手順をまとめました。

結論:保育料で比べる時代ではなくなっている

3〜5歳児クラスについては、幼児教育・保育の無償化によって保育料そのものが原則として無償になりました。つまり「幼稚園と保育園、どちらの保育料が高いか」という比較は、この年齢帯では成立しにくくなっています。

残る差は次の2つです。

  • 実費の差:給食費・制服代・送迎バス代・延長保育料など、無償化の対象外の費用
  • 時間の差:預けられる時間の長さ。働ける時間に直結するため、金額に換算すると実費の差より大きくなる

計算ツールの既定条件(世帯年収500万円・都市部・3歳・延長保育なし・給食費5,000円・制服30,000円・バス代3,000円)で並べると、実費はこうなります。

項目保育園幼稚園
保育料(無償化後)0円0円
給食費5,000円5,000円
送迎バス3,000円
制服代(月按分)約833円
月額合計5,000円約8,833円
年額60,000円約106,000円
3年間180,000円約318,000円

実費の差は月約3,800円、3年間で約14万円です。無償化前に語られていたような大きな差ではありません。

検算(制服代):入園時に30,000円かかるものを3年=36か月で割ると、月あたり約833円。

自分の条件での比較は**保育園vs幼稚園トータルコスト計算機**で出せます。世帯年収・地域・子どもの年齢・延長保育の有無・給食費・制服代・バス代・自分の時給を入れると、月額と3年間の合計、内訳、そして預かり時間の差を金額に換算した額が表示されます。

この記事が前提にしている制度(要確認事項)

金額の前提になっている制度は次のとおりです。制度の適用条件は自治体によって異なり、改正もあるため、必ず公式情報で最新の内容を確認してください

  • 制度名:幼児教育・保育の無償化(2019年10月開始)
  • 出典:こども家庭庁(制度開始時は内閣府)の案内、およびお住まいの市区町村の案内。こども家庭庁のサイトは https://www.cfa.go.jp/ から「幼児教育・保育の無償化」を参照してください
  • 本記事の最終確認日:2026年7月

前提として置いている内容は以下です。

  1. 3〜5歳児クラスは利用料が無償。認可保育所・認定こども園は無償、私立幼稚園のうち新制度に移行していない園は月額の上限額が設定されており、上限を超える分は自己負担になります
  2. 0〜2歳児クラスは対象が限定される。住民税非課税世帯などが対象で、それ以外は所得に応じた保育料がかかります
  3. 給食費・行事費・通園送迎費は無償化の対象外。実費として徴収されます。副食費については、一定の所得水準以下の世帯や第3子以降で免除される仕組みがあります
  4. 保育園の利用には就労等の要件がある。無償かどうかとは別に、入園には保育の必要性の認定が必要です

上限額・所得区分・免除の基準は自治体の案内が正です。本記事の金額は制度の枠組みを踏まえた計算例であり、個別の適用額を示すものではありません。

0〜2歳では前提が変わる

0〜2歳児クラスは無償化の対象が限定されるため、費用構造が3歳以上とは別物になります。計算ツールでは、この年齢帯の保育料を世帯年収に応じた段階で置いています(都市部は1.1倍)。

世帯年収保育料の目安(月・都市部)
300万円以下約16,500円
500万円約33,000円
700万円約55,000円
1,000万円約71,500円
1,200万円以上約88,000円

この段階は自治体ごとの階層区分を単純化した概算です。実際の保育料は市区町村が定める階層表で決まるため、自治体名で「保育料 階層」を検索して自分の区分を確認してください。年収が同じでも自治体によって金額は変わります。

また幼稚園は3歳児クラスからの入園が基本です。2歳児から通える「プレ保育」を実施している園もありますが、これは通常の入園とは別枠の扱いになります。

判断を決めるのは預かり時間の差

実費の差が月約3,800円だとすると、判断を分けるのは金額ではなく時間です。一般に保育園は就労を前提として長時間の保育を行い、幼稚園は教育時間が短めに設定されています。

計算ツールは、幼稚園を選んだ場合に働けなくなる時間を1日5時間(延長保育を使う場合は2時間)と置いて金額に換算します。時給1,200円・月20日で計算すると次のようになります。

条件働けない時間月の換算額年の換算額
延長保育なし1日5時間120,000円1,440,000円
延長保育あり1日2時間48,000円576,000円

実費の差(年約46,000円)に対して、時間の換算額は年576,000〜1,440,000円。桁が2つ違います

この数字を実費と足すと、年間の合計は次のようになります。

条件保育園(年)幼稚園(年・時間換算込み)
延長保育なし60,000円約1,546,000円約1,486,000円
延長保育あり120,000円約778,000円約658,000円

検算(延長なし・幼稚園):実費105,996円 + 時間換算1,440,000円 = 約1,546,000円。

延長保育を使うと差が約149万円から約66万円まで縮みます。幼稚園を選ぶ場合、預かり保育の有無と料金が費用面の最大の変数ということです。

時間の換算額をどう読むか

上の表の金額は、そのまま「損失」と読める数字ではありません。次の条件がそろって初めて実額に近づきます。

  • その時間に実際に働ける仕事がある(勤務時間を選べる、または在宅で調整できる)
  • 本人がその時間を働くことを望んでいる
  • 預かり保育を使わない選択が、費用ではなく方針として選ばれていない

逆に、次の場合は換算額を判断材料から外したほうが実態に合います。

  • すでに時短勤務や在宅勤務で、預かり時間の長短が収入に直結しない
  • 祖父母や配偶者の協力で送迎とその後の時間をカバーできる
  • 教育内容や園の方針を金額より優先している

時間の換算は「差の大きさを実感するための道具」であって、選択の答えではありません。実費の差が月約3,800円と分かっているうえで、時間の差にどれだけ重みを置くかを決めるのが、この比較の実質です。

比較するときに確認する項目

金額を出す前に、次の6項目を園に確認しておくと計算が正確になります。

  • 預かり保育(延長保育)の実施時間と料金、長期休暇中の実施有無
  • 給食の有無と月額(お弁当持参の園もあります)
  • 制服・体操服・カバンなどの入園時費用の合計
  • 送迎バスの有無と月額、ルートの範囲
  • 行事費・教材費の年額(遠足・発表会・写真代など)
  • PTA・保護者会の会費と参加が必要な行事の頻度

とくに最後の2つは金額として見えにくい一方で、年間で数万円になることがあります。月額だけの比較では抜け落ちる部分です。

第3の選択肢:認定こども園

幼稚園と保育園の二択で考えると見落としますが、両方の機能を併せ持つ認定こども園という区分もあります。就労状況によって利用の枠が分かれる仕組みで、就労状況が変わっても転園せずに通い続けられる場合があります。

利用条件と費用は園の類型と自治体によって異なるため、候補地域にある施設を自治体の一覧で確認するのが確実です。上の計算ツールは幼稚園・保育園の2区分で比較する設計なので、認定こども園を検討する場合は、実費の内訳(給食・バス・行事費)と預かり時間を園から取得して、近い側の欄に入れて試算してください。

この記事の前提と、当てはまらないケース

  • 制度の適用条件・上限額・免除基準は自治体によって異なります。本記事の金額は計算ツールに実装された概算値に基づく試算で、個別の適用額ではありません。必ず市区町村の案内で確認してください
  • 0〜2歳児の保育料の階層は、自治体ごとの区分を単純化した概算です
  • 時間の換算額は「1日5時間(延長利用時は2時間)働けない」という仮定に基づく目安です。園の預かり時間と自分の就労条件に置き換えて計算してください
  • 時給1,200円・月20日という条件は仮の値です
  • 入園できるかどうかは、費用とは別の問題です。地域によっては希望する園に空きがないことがあります
  • 私立と公立で費用構造が大きく異なります。とくに私立幼稚園は園ごとの差が大きいため、候補園の実額を取得することが前提になります
  • 教育内容・園の方針・通園距離といった、金額に現れない要素がこの選択の中心にあることも少なくありません

まず候補園の実費を集めて、**保育園vs幼稚園トータルコスト計算機**に入れてみてください。実費の差と時間の差が別の行で表示されるので、どちらの要素で判断しているのかが自分でも見えるようになります。